《MUMEI》 歓声を上げたのは、もちろん祐介さんだったが… 「やめてくれぇ〜!」 悲鳴を上げたのも、祐介さんだった。 『よく撮れてるでしょ? これ、明日から各店舗に配るから、皆、一番目立つ場所に貼ってちょうだい』 瞳さんの言葉に、ほとんどの人達が『は〜い』と手をあげたが… 「ちょっと待て!」 瞳さんが撮った祐介さんの恥ずかしい写真を見つめていた勇さんが、あることに気付いた。 「俺、写ってるじゃないか!」 『あ、バレた?』 私はもう一度写真を見つめた。 確かに、よく見ると、隣でひざまずいている勇さんも見えたが… 「小さいから大丈夫じゃないですか?」 私がポツリと呟くと 「甘いよ蝶子ちゃん!」 「わ!」 勇さんが私に勢いよく近付いてきたから、私は思わず後ろに下がった。 私の後ろには、俊彦がいた。 「勇…」 「べ、別に、蝶子ちゃんを怒ったわけじゃないぞ!」 「でも、怖がらせたな…」 「俊彦、…びっくりしただけだから」 私達がそんなやりとりをしているうちに 『じゃ、そういうわけで、私達妊婦はもう帰るから、あとよろしく!』 瞳さんは帰ってしまった。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |