《MUMEI》

こうして氷室様と同じ部屋に居るだけで緊張のあまり震えが止まらないけれど、
にーさんと同じく僕はベッドの脚に首輪に通された鎖を括り着けられてしまい全然気が休まらないけれど、
氷室様はそれも、
「社会に適合させるための処方箋」
だとおっしゃった。

発毛する僕のために特訓して下さるなんて……



まるで親友みたいじゃないか。
僕ったら気が早い。
まだ、ちゃんとお友達になっていないのに!

「氷室様、僕、読書感想文を書き終えました。」

氷室様の深い金色夜叉の読み方に感激して書いたんだ。是非、読んで欲しい。

「……熱心だな。」

氷室様は僕の文章を隅から隅まで眺めた。

「タマ、四つだ。」

頑張ったのに感想……それだけ?




「…………脱げ。」

「え?」

今、なんて?

「聞こえなかったか?」

氷室様のその語尾は強制疑問詞、別名「二度同じ事を言わせれば張り倒す」である。

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