《MUMEI》

「…中学3年間。」


「?」


「ほとんどコートに立てなかったあたしと違って、」


「…」


「半年でスタメンになった小太郎はいいよね。」


「…」


「才能あっていいよね。」


「…ああ。僕には運動神経があるからね。」


「…」


「ま、才能があってもなくても、僕が自分で道を選ぶのは変わりないと思うけどね。」


「…」


「友達と一緒、彼氏と一緒じゃなきゃ嫌だって。流されてるお前とは違う。」


「…だって、一緒が良かったんだもん。」


「お前はそれでい〜さ。でも純粋に秀皇でやる気がなかった僕が、秀皇に行ったってしょうがないだろ。」


「…そ。わかった。」


「悪いな。」


「いいよ別に。」


「…じゃ、帰るわ。」


「また…」


「あ?」


「また試合見に行ってもいい?」


「ああ。待ってる。」


席を立つ際、伝票を持っていった。


(金ないくせに…)

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