《MUMEI》
第三者は呆然とし
…なんだ?なんだこれは!強盗!?もはやそんなレベルなどではない!!あまりに、あまりに異常過ぎる!…

六条千奇はドアの無くなった玄関から呆然とその状況を眺めていた。と言うより、眺めるほか無かった、

何故なら六条には目の前で"何が起こっているのかすら"分からない状況だったからだ。

神父のような男が手を前に向けると光の壁が出来、それを簡単に壊す白と赤の髪色をした男をティアラを着けた女が後ろに弾き飛ばす。
そんな繰り返しが何度も何度でも続いている。

…なんだ?俺は夢でも見ているのか?あの壁、何気なく壊しているが、…厚みが30センチ以上は在るぞ?というより、なんで"何もないところから壁が出る"!!?意味が分からないことだらけだ!…

そんな事を考えている六条の前では、異常な三人の奇妙な会話が交わせられていた。

「くっ!?僕はいいから君は逃げるんだ!」

「何ベタベタなセリフ吐いてんのよ!私だって戦えるんだから!!」

「君は相手を傷つけられないだろう!?」

「なによー!快楽だって攻撃して無いじゃん!」

「君はいつから僕を名で呼ぶようになった!?」

「いいじゃない!!もう付き合ってるんだから!!」

「いつの間に!?了承してないよ!?」

「愛するものは結ばれてるのよ!いつの間にか!」

「ちょっ!?この人ホントに姫!?」

「なーによー!快楽も元天使のくせに私の頭ん中普通に読みとってるじゃん!」

「気付いてたの!?」

「アーターリーマーエ!」

端から見たら恐ろしい光景の中、天使と魔姫は当たり前のように会話を続けていた。
そんな中一人置いていかれたような感覚の死鬼は。

「ちっ!コレじゃあやってる意味がねぇ!!」

そう言うと攻撃を止め、元ドアの在った場所を見て、一言訪ねた。

「で?そこの意味不明野郎は何の用ナンだ?」

最初、六条は単純に自分に向けられたんだと感じた、だが、それは"後ろからの声で"打ち消される。

「尋ねよう、…緑妖季紫か?」

男は見た目だけで200センチ近い身長を持っているのが分かるぐらい長身で、指には中指と小指に指輪を、それぞれ左右の手に付けている。

そんな男に対して死鬼は淡々と答えた。

「だったらナンだ?」

相手に挑発とも受け取れる言葉を放つが相手の男は気にした様子はない。

「答えよう、…俺はお前にたった一発でのされたグループのまとめ役みたいなもんだ。」

「なんだ、あいつ等にまとめ役なんていたのか!全ッ然統率とれてなかったがなぁ!」

「伝えよう、…まずは礼をいう。暴走したウチの者に歯止めをきかせてくれたことに、」

「礼なんて言われる筋合いネェなぁ!!まだ名前を名乗りもしねぇボンクラなんかによぉ!!」

「失礼した、…俺の名は医十印鋼守(いじゅういんこうしゅ)用件を言おう、今から俺について来て貰いたい。」

後ろで完全に無視されている天使と魔姫は未だに口喧嘩を繰り広げていた。

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