《MUMEI》
手打ちうどん
店に入ると、天然無垢のテーブルや椅子が並んでおり、昔ながらの雰囲気を漂わせていた。

いかにも、おばちゃん、て感じのひとがお水を持ってきた。

俺は、釜あげうどんを頼んだ。
時間が時間だけに、客は俺一人だった。

5分ほどで出来上がり、運ばれてきた。

さぬきうどんとは違い、少し細めのうどんだ。

普段、冷凍だが、さぬきうどんを愛食している俺は、少しがっかりした。

薬味を入れたつゆにくぐらせ、一口啜った。少し甘めのつゆと、だしの香りが口の中に広がった。

うどんを噛むと、半端なくコシがある。
見た目に騙され多めに啜った俺は、苦戦していた。

噛んでは押し返し、また、噛んでは押し返す。
ようやく一口食べ終わった。

水をのみ、ひと息ついた。
こんなに細いのに、なんてコシだ。
今度は少しづつ啜った。

つゆの香りが広がった後、うどんの塩味が染み出てくる。

美味い!!コシのおかげでうどんの味も良く分かる。

(大盛にすれば良かった…)

少し後悔しながらも全部食べ終えた。

店内は、禁煙になっており、俺は足早に店を出た。

帰り際に、
「細いのにコシがあって美味しかったです。ごちそうさまでした」

「ほんと?良かった(笑)また、食べに来てね」

そう言って笑顔で見送ってくれた。

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