《MUMEI》
ただいま
それから1時間ほど走ると、見慣れた景色が広がってきた。

通勤ラッシュで混雑した道をノロノロと走る。

自分の町の標識が見えた。

「ただいま」

俺はボソッと呟いた。たった5日間のツーリングだったが、この町が懐かしく感じた。

裏道を抜けて家にたどり着いた。
鍵を開けると、誰もいないが「ただいま」と呟き中に入った。

中に入ると、俺は真っ先にお風呂場に向かった。

浴槽にお湯を流し込み、貯まるのを待つ間に洗濯の準備をしていた。

すると、携帯がなった。

「もしもし…」

「よぉ!久しぶり、お前バイク買ったらしいやん?」

友人の直樹だった。

「おお、買ったぞ!誰に聞いたん?」

「土曜日にオイル交換に行ったら、エリカちゃんが言よったぞ!で、いきなりツーリングに行ったって?」

「おお、今帰って来た所よ」

「マジで!?
じゃあ、ちょこっと飲むか?」

「悪い…今日は用事があるんよ…
またにしてくれ」

「冷たいのぉ…」

「ホンマ悪い!!
今度、おごってやるから(笑)」

「しゃあないのぉ…
じゃあ、週末にでも飲もうや?」

「おう!金曜日にでも行くか?」

「よし、じゃあ、決まりなっ」

そう言って電話を切った。

お風呂場に向かい、服を洗濯機に放り込んでスイッチを押して風呂に入った。

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