《MUMEI》
ローヒールとハイヒール
運動会が終わると、商店街のイベントは、年内は、十一月の旅行と、十二月のクリスマスと歳末セールを残すのみとなっていた。


今月ー十月は、イベントもなく、比較的落ち着いていた。


唯一、目立っていたのは、各店舗に貼られた運動会の罰ゲームの写真だった。


そして、それは、今日の待ち合わせの場所の、駅前にある商店街の掲示板にも貼られていた。


「お待たせしました」


私は、写真をくいいるように見つめている人物に声をかけた。


「…ううん。
ねぇ、これ、拡大すると結構勇も目立つのね」


そう感想を述べたのは、勇さんの彼女の律子さんだった。


律子さんは今日、写真と同じ秋色パンプスを履いていた。


「でも、祐介さんよりはいいですよ」


私がフォローすると、律子さんは苦笑した。


そして、『まぁ、私と歌穂子ちゃんの顔は写って無いしね』と言って笑った。


今日の律子さんは、髪を下ろし、メイクもバッチリだったから、笑顔もいつもより輝いて見えた。


それに、律子さんはパンプスと同じワインレッドのワンピースに黒いジャケットをはおっていた。


「じゃあ、行きましょうか」


「はい」

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