《MUMEI》

そして、私と律子さんは『シューズクラブ』に向かって歩き始めた。


今日は、水曜日で、『シューズクラブ』は本来定休日だが、十一月と十二月は臨時休業が多くなるから、今月第一・第三水曜日も営業していた。


「お仕事大丈夫何ですか?」


『クローバー』はいつも通り定休日だから休みだが、律子さんの会社は土日休みだったから、私は気になっていた。


「大丈夫。有休使ったから。大事な旅行用の靴を買うんだもの」


(すっかり常連さんだな)


律子さんは、先週の日曜日は孝太に通勤用のパンプスを選んでもらっていたと俊彦に聞いていた。


「ようこそ、『シューズクラブ』へ!」×4


私は未だに迫力に圧倒されるが、律子さんは普通に俊彦に挨拶していた。


(これなら、商店街に慣れるの早いよね)


事実、咲子さん情報によると、律子さんは『赤岩』の看板娘になりつつあるとの事だった。


「ねぇ、何で今年は琴子と来ないの?」


席に誘導されている途中ですれ違った和馬に質問された。


「去年と同じのでいいんだって」


私が早口で説明すると、和馬はガッカリしていた。


当初は、私もそうするつもりだったのだが…

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