《MUMEI》

ニーハイブーツの琴子と違い、私は旅行が終わってからも、冬の間はほとんど毎日ショートブーツを履いてたから、かかとがすり減ってしまい、新しいブーツを買う必要があった。


そこで、私は丁度律子さんに誘われたのもあり、今日一緒に旅行用の靴を買いに来たのだった。


本当は、歌穂子さんも来たがっていたが、さすがに千葉からここまで靴を買うためだけには来れなかった。

俊彦は、まず律子さん用の靴を三足持ってきた。


(高っ…)


私が驚いたのは、ヒールの高さだった。


律子さんが今履いているパンプスも、ハイヒールだったが…


俊彦が持ってきたブーツは、それと同じか、それ以上あった。


「それで、歩けるんですか?」


私は、ワインレッドのロングブーツを履いた律子さんを見つめた。


律子さんはスッと立ち上がり、俊彦の許可を得て、ソファーの周りを一周した。

(すごい…)


カツカツと音を立てながら、余裕で歩く律子さんに、私は見とれていた。


「7センチヒールだと、勇と釣り合うんだ」


俊彦が、律子さんがハイヒールを好む理由を教えてくれた。


その後、律子さんは黒いショートブーツと黒いロングブーツに履き替えた

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