《MUMEI》 部屋割旅行当日。 「ブーツいいなあ〜、私も欲しい!」 集合場所に現れた歌穂子さんは、秋色パンプスに、ニーハイソックスを合わせていた。 「良かったら帰りに『シューズクラブ』に寄ってく?」 「はい!」 俊彦の言葉に、歌穂子さんは目を輝かせた。 「そのかわり、部屋割なんだけど…」 「それはダメです!」 歌穂子さんはきっぱり言い切った。 『部屋割の決定権』を獲得したのは祐介さんだったが、実際に部屋割を考えたのは歌穂子さんだった。 「残念だったな、俊彦」 今年は遅刻しなかった祐介さんが、嬉しそうに言った。 「残念なのは、お前と勇も同じだろ?」 俊彦の言葉に、律子さんの隣にいた勇さんがピクリと反応した。 「「お前を道連れにできれば本望だ」」 祐介さんと勇さんは声を揃えた。 そして、私は俊彦をなだめながらバスに乗り込んだ。 「さぁ、出発よ!」 今年、この旅行を仕切っていたのは、麗子さんだった。 瞳さん・薫子さん・結子さん以外で商店街のメンバーをまとめる事が出来たのは、マイペースな愛理さんよりも、しっかり者の麗子さんが適任だった。 (今年も何かやるのかな?) 前へ |次へ |
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