《MUMEI》

「ごめんね、うるさくて…」


私は同室の律子さんと歌穂子さんに謝った。


洋風の外観だが、私達の部屋は畳の和室だった。


そして、同じく、隣の


俊彦と、祐介さんと勇さんの部屋も和室だった。


二階は、他は全てツインベッドかダブルベッドの二人部屋で、一階は家族向けの洋室と和室が半分ずつあった。


つまり、部屋割は、二階に二つしかない三人部屋の私達だけが、男女別で、他の恋人同士は同室になっていたのだった。


「こっちこそ、すみません…私、麗子さんはちょっと…」


歌穂子さんは、運動会で祐介さんを拒み、怒鳴りつけた麗子さんを怖がっていた。


「私も、理美さんとは…」

律子さんは、自分と正反対の理美さんにコンプレックスを抱いていた。


(それだけなら、私が麗子さんと理美さんと一緒になっても良かったんだけどな…)


実は、二人にはもう一つ悩みがあった。


それは…


『知り合いばかりいる中で、夜…Hをしたくない』


という理由だった。


(しかも、初めてなら、尚更よね…)


私はチラッと歌穂子さんを見つめた。


(高校生、だしね…)


「蝶子さん、…怒ってます?」

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