《MUMEI》




「…――ン…、ン……」




舌先を俺から侵入させると逆に強く吸いかえされた。

しかし直ぐに唇を離され


バンッ!!


「はぁ…ンッ、ンッ…」





ドアに押し付けられ深く唇を重ねられる。





――煙草の苦さが口の中いっぱいに広がる。




そして乱暴に抱き寄せられた。




「惇…、分かってんのか?俺だって男なんだぞ…」



「分かってる、だって…、だって…」





「―――拒絶しないとこのまま抱くよ?」





「抱いて欲しい…裕斗が俺の事抱けるんなら抱いて欲しい……」




「――――惇……」





裕斗は俺をゆっくりと開放し、靴を脱ぎ部屋に上がる。






「――シャワー浴びてくる」





俺に背を向けたまま脱衣所に消えて行った。




俺は…、





力が抜けてその場にへたりこんだ。







部屋中にシャワーの音が響く。






俺はベッドに座りじっと床の木目を眺めていた。




前は抱いてみたいとは思っていた相手に今は無性に抱かれたくなっている。





隆志も兄貴の存在も消して、親友である裕斗にぬくもりを求めている。

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