《MUMEI》

「さ、行こか。」


「はい!!」


体育館へ。


「おはようございます!!」


西条の選手たちのお出迎えだ。


「あ、ども。顧問の先生は?」


「はい。私です。」


女だ。
まだ若い。
マネージャーかと思った。


「赤高コーチの黒田です。クロって言った方がいいすかね?」


「クロさんですね!!わぁ〜!!あ、あたし顧問の星野です。ハンドルネーム、スタートラインの!!」


知ってるよ。
ハンドボールプログラムに書いてたじゃん。


「今日はよろしくです。」


「いえいえこちらこそよろしくお願いします〜。」


何かチャラいな。
ホントに教師か?


「夏目さん。更衣室まで案内してあげて。」


「はい。」


こっちは本物のマネージャーらしいな。


つか更衣室とか…
設備が違うな。


「ここです。」


「ど〜も。」


更衣室も広い。
こんな環境で練習したいもんだ。


「何か向こうの監督チャラいすね〜。」


「あんな先生欲しいわ!!英語の先生とかだったら尚いいんだけど!!」


マニアックだが、わからなくもない。


「早く着替えてアップすんぞ。」


「は〜い。」


「クロ?」


「ん?」


さっきまで妙なテンションだった恭介が真面目な顔をしてる。


「あの女の靴見たか?」


「あの顧問の?」


「そう。」


「スカイハンドだろ?」


「うん。」


「それが?」


「あれは廃盤になったスカイハンドだ。」


「廃盤?、てことは…」


「たぶんハンド経験者だぞ。」

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