《MUMEI》

「うわ、キモッ!」


祐介さんを見た歌穂子さんは、正直すぎる感想を述べ

「りっちゃん?りっちゃ〜ん!」


律子さんは、勇さんから顔を背けていた。


「あれ?皆、デザイン一緒なんですか?」


そんな中、免疫のある私だけがその場にいる全員を直視できた。


「今回は、さすがに結子も一人じゃ無理で、愛理と咲子さんに手伝ってもらう関係で、シンプルにしたらしいよ。
でも、ほら、お揃い!」


そう言う俊彦のフリルやリボンは、確かに私と同じ白だった。


「じゃあ、俺は蝶子に綺麗にしてもらうから、二人は律子さんと歌穂子ちゃんに何とかしてもらいなよ」


「「何とかって…」」


声を上げたのは、頭を抱えている律子さんと歌穂子さんだった。


それから、律子さんは自分と同じ綺麗系メイクを勇さんにほどこし


歌穂子さんは、祐介さんの目を何とか大きく見せようと、アイメイクに時間をかけ、ギャル系に仕上げていた。


私は、俊彦を綺麗系に仕上げるつもりだったが、俊彦が私と同じメイクを希望したから、可愛い系に仕上げた。


(それでも、似合うなんて…)


私は俊彦に、ロングヘアのウィッグをかぶせながら、複雑な心境だった。

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