《MUMEI》 その隙に、俊彦は私の体に触れてくる。 「あっ…」 歌穂子さんの甘い声が聞こえた。 それから、二人が何やら動く音も。 (声、出したら聞こえちゃう) 私は必死で唇を噛み締めた。 「ね…もう、蝶子さん帰ってくるから…やめっ…」 「ごめん、止まらない」 祐介さんの興奮したような息遣いが聞こえた。 (こま…る、それ) 押し入れの中の俊彦の息遣いも、徐々に荒くなっていて、私は焦っていた。 「もう、ここまで!」 「りっちゃ〜ん!」 隣から律子さんと勇さんの声が聞こえた。 「私達も…」 歌穂子さんが、祐介さんに話しかけた。 (俊彦、…やめよう) 私達の状態は、かなりまずかった。 (大体、こんな狭いなかで、できるわけ…) 「おい、祐介、寝るぞ。戻ってこい」 扉の外から勇さんの声が聞こえた。 「わかったよ」 祐介さんの言葉に私はホッとした。 そして、祐介さんは出て行き、かわりに律子さんが戻ってきた。 それから二人は、電気を消して横になった。 (今のうちに…) 私はやっと押し入れから出て布団に戻った。 俊彦も帰ると思った。 前へ |次へ |
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