《MUMEI》

◆◇◆

「お前達‥どうしたんだ‥」

「道を開けろーっ」

 鼠のような妖が、きぃきぃ声で言った。

 夜桜は何とか宥めようとする。

「待ってくれ。その前に‥話を聞いてくれないか」

「おれ達はこれから人間共をとっちめに行くんだっ」

「何故そんな事をする‥?」

「ほっといたら、また人間はおれ達妖をやっつけようとするからっ」

「っ‥‥‥‥」

 ずきん、と心が痛んだ。

(どうすれば考えを変えてやれる‥。どうすれば‥‥)

 妖達が暴れ出す。

 考えている暇がない。

 漠然と立ち尽くす夜桜。

 その時、火炎弾が迫っていた事に彼女は気付いていなかった。

◆◇◆

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