《MUMEI》
難産
「それでも、三日で許しちゃうんだから、結局甘いわよね」


「だって、『クローバー』まで来たり、いいって言うのに、新しい仕事用のスニーカー持ってきたりするんですよ」


私は、相変わらず花のように微笑む薫子さんに、私は訴えた。


「今日は、俊彦君は?」


「『シューズクラブ』のクリスマス用の飾り付けしてます。
『クローバー』は日曜日の夕方やったし」


今日は水曜日で、私も俊彦も休みだった。


私は、薫子さんの様子を見る為に、病院を訪れていた。


薫子さんの出産予定日は明日で、薫子さんは昨日から入院していた。


「具合、どうですか?」


「実は昨日、陣痛かな?っていう痛みがあったんだけど、違ったみたい」


実際、薫子さんのお腹はまだ大きかった。


薫子さんは、安定期に入るまで、体調が悪かった時期もあったし、何より、胎児が標準より大きく、母体への負担を考えて、陣痛促進剤を服用し、実際の出産予定日より早めに出産する事になった。


「克也に似ちゃったのね、きっと」


薫子さんの話によると、克也さんは4000グラム以上ある『巨大児』だったらしい。


「産むのは私なのにね」


小柄な薫子さんは苦笑した

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