《MUMEI》
覚醒
 


一人になんてならないさ。こんなに危なっかしい奴、みんな放っとかない……









イイ声だ。

穏やかな気分。

水の中に静かに浮かんでいるようだ。








お腹空いた……そうだ、冷蔵庫の冷やご飯でお茶漬けにしよう。

……ん?

いい匂いする……



台所に誰か居る。
と言うか、見れば見るほど思い出してゆく。

「お早う?」

なのだろうか、この場合。

「茶粥食べる?」

目が合うと名前まで思い出してきてしまった。

「……べる。」

片手で粥が器へと器用に盛られた。

応接間に使おうとして出しっぱにしていた椅子やテーブルで食べた。

「あ、美味い……。」

あったまる。

「そう。」

静かに食べる姿を見られるのは落ち着かない。

「お腹空かない?食べさせてやるよ。」

スプーンで掬って差し出してやる。

「いや、いいから。」

首を横に向けられたので無理矢理に口をこじ開けて放り込んだ。

「…………熱っ!」

猫舌だったらしく口からボロボロ米粒が落ちてきた。

「あーごめん。水、水……」

口を押さえ、俯いて熱さを耐え忍んでいる姿はなんか可愛かった。

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