《MUMEI》
鈍い痛み
   〜麗羅視点〜


優しい風に包まれ、目を閉じる。


さっき歩に酷いこと言っちゃったから謝らないとな・・・。


歩も悪気があった訳じゃないだろうし。


屋上で真星と過ごしている間にさっきまでのイライラは吹き飛んでいた。


キンコーンカンコーン―――。


ホームルーム終了を知らせる鐘がなると


「よし!麗羅教室戻ろっか」


っと真星が元気よく立ち上がった。


私は微笑みを零し、頷くと立ち上がった。


「麗羅・・・ありがとね!なんかスッキリしたかも」


真星は、そう言って笑顔を浮かべた。


さっきみたいな無理に作った笑顔じゃなくて、自然な笑顔だった。


私たちは屋上を後にし、階段を降りていく。


「えっ・・・・・・・・・・?」


「うん・・・。しかも・・・・・・・・・・・・それに、・・・・・・・・・・・・」


私たちの教室がある階に近付くと誰かの話し声が聞こえてきた。


階段を更に下るとその人物の顔が露わになる。


・・・・・・・歩?


それと女の子が一人。


その女の子は歩の肩に手を添え、小声で話している。


その光景を見た瞬間、鈍い痛みが胸をかすめた。


何これ・・・?


階段の途中で止まった私に真星が話しかける。


「麗羅どうしたの?」


真星の声に反応して、歩とその女の子がこちらを向いた。

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