《MUMEI》
女性の力
薫子さんが産んだ女の子は、出産予定日より早かったのに、3000グラムあった。

顔付きは、薫子さんに良く似ていて、とても可愛かった。


女の子の名前は花雪(かゆき)に決まった。


ほとんどのメンバーは翌日病院で花雪ちゃんと対面していたが、出産間近の瞳さんは、まだ花雪ちゃんに会えずに悔しがっていた。


瞳さんの出産予定日は、もう明日に迫っていた。


「わ、私も手伝うんですか?」


瞳さんにメールで呼び出された私は、驚いた。


瞳さんは自宅出産だったので、部屋の中には必要な道具が運びこまれていた。


「励ましてほしいの」


「それは、春樹さんの役目じゃないですか?」


私の言葉に瞳さんは苦笑した。


「それがねぇ〜、春樹は血とか、生々しいの、駄目なのよ。
この前、テレビでやってた医療番組でたまたま出産シーンがうつったんだけど…
…直視できない上に、気分悪くなっちゃったみたいで」


瞳さんは大きくため息をついた。


「母さんと夏樹義姉さんは、助産婦さんの手伝いするし、愛理と麗子はどうしても仕事が忙しいらしいし…
咲子さんが、蝶子ちゃん貸してくれるって言ったから…お願い!」


(聞いてないです…)

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