《MUMEI》
サイテーなお願い。
『…お願い!?
なんや?…どないした?』



『…きいてくれる?』




『あぁ…俺に出来ることやったら何でもしたるよ!』



ももたの言葉が嬉しかった。




そして私は初めて、人に打ち明けることにした…。




『…あのね………
…ももた……私……
……私を…抱いて……。』



『…ん?なんやて!?』




『…私と……私とエッチしてほしいの!!』




わたしはどうかしていたのだろうか…?




ももたに…こんな事言うなんて………。




『はあ〜!??』




ももたは、驚いてそれ以上言葉が出ないみたい…。




『…私、本気なの。
…お願い。こんな事…ももたにしか頼めない…。』




『咲良…。お前…
どないしてしもたんや?』




ももたの困った顔を見て、“やっぱりダメなんだ”って分かった…。




『…うっ……うっ………
私だってバカな事言ってるって分かってる………。
でも、もう私にはこうするしか無いの……。
ももたがダメなら、誰か他の人を探して頼む……。
私、本気だから!!!』




『落ち着けって!
なんでやねん!なんでそんな事なってんねん!?』




『…明日……彼氏が家に泊まりに来るの………。
…でも…私には“経験”が無くって……。
そんな事、彼氏にバレたら嫌われる……。
彼には嫌われたくないの…どうしても……。』




私の告白に、ももたは黙り込んだ。




『…ももたも“ひいてる”んでしょ?…それとも、最低な女だって軽蔑した?』




ももたは黙り込んだまま、目も合わせてくれない。




“本当サイテーだ私…。”




『…変な事言ってゴメン。…今の全部忘れて。』




ももたにも嫌われた…。




もうおしまいだ…。




私は帰ろうと立ち上がったけど、足元もふらつき歩けなかった…。




そんな私の姿を見て、ももたがゆっくりと立ち上がり、私を支えながら話し始めた…。




『…咲良。
…お前本気なん?
本気でそれが最善の解決策や思てるん?
…そやったら俺には、理解出来へん。
俺は、そんなん間違ってると思う。
もっと他に方法はあるやろ?
彼氏かて、そんな事でお前を嫌いにならへんやろ。
よー考えてみぃて!!』




『…そんな事、言われなくても分かってるよ。
…間違ってるなんて………ももたに何が分かるの!!25年間、私がどんな思いだったかなんて…。
初めて人を好きになって…付き合うことになって…
ずっと不安で不安で…
嫌われたくなくて…。
でも、言えなくて…。
もう…誰にどう思われたって構わない。
私には彼しかいないの!
もう、ほっといて!!』




自分でも何を言っているのか分からなかった…。




ただ…ももたに掴まれた腕が痛くて…振りほどけなくて…“お前は間違ってる”って言われてる気がして、涙が止まらなかった…。




『…お前本気なんか?
俺が断ったら、他の奴に同じ事、頼むんか?』




『…うん。…頼むよ。』




私の気持ちは変わらなかった…。
吉沢に嫌われないためにはこれしか思いつかない…。




しばらくの沈黙のあと、
ももたは言った……。




『…分かった。
そんなら俺にしとき!
俺がヤッたるから…。』

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