《MUMEI》

赤高のオフェンス。


「1本決めましょ〜。」


椎名。


こいつはゲームメイクの才能があると思うけど、実際攻撃パターンの少ない今の赤高では特にその才能を生かしきれていないだろう。


ユキヒロが1対1を仕掛ける。


が止められる。


この突破力の無さ…


勘弁してほしいよ。


ロングと速攻だけじゃ限界があるよな…


「止められるなんてね。」


「え?」


「いや、あんな下手くそなパス回しする割りにディフェンスは上手いんだなって…」


…確かに。


ユキヒロは突破力がずば抜けてあるというわけじゃないけど、経験があるだけにあいつらに止められるのは意外だ。


「…あの。まさかとは思うんですけど?」


「何?」


「最初わざと手を抜いてたって考えられないすか?」


「…」


ホント言うと、翔太が言ったことと同じことを考えてた。


でも、そんなの聞いたことない。


そんな作戦があるのか?


ハンドボールを知っているからこそ、クロや恭介、翔太はそのことを口に出せないでいた。


「…考えにくいな。」


そんな思いから、翔太の意見を否定してしまった。

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