《MUMEI》
十九夜 暁の空に棚引くは
◆◇◆

「───────」

 彼方へと続く、闇。

 夜桜はそれを見つめ、ぼうっと佇んでいた。

 ふっ、と力が抜けた姫君の体を、彩貴が受け止める。

 そして、月裔と狐叉、雪兎達に呼び掛けると、夜桜を担ぎ歩き始めた。

「おい‥っ」

 自分で歩ける、と言い張ったが、彩貴は只黙って彼女を担いだまま降ろそうとはしない。

(どういうつもりだ‥?)

◆◇◆

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