《MUMEI》 「分かりました!もう頼まないわよ!!」――…ガチャン! 警察官との埒のあかない押し問答に疲れたのか、武の母親は捨て台詞とともに電話を切った。 ――…そして… 「うわああああぁ!ジャイ子ぉ…!」 …娘の名を叫び、その場に泣き崩れた。 武の父親は、そんな母の背中を黙って抱き支えている――…。 その時、武は重たそうな身体でノソりと立ち上がった…。 「…母ちゃん――… …オレ……もっかいジャイ子を探しに行って来るよ…。」 武はそう告げると、フラフラと玄関に歩いてゆく…。 彼はつい先程まで妹を探して町中を走り回っていたため、その足は棒のように疲れきっていた――…。 前へ |次へ |
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