《MUMEI》 (やっぱり変?) 私は、私をまじまじと見つめる俊彦から、目をそらした。 「似合う。たまにはこういうのもいいね」 「そ、そ…って、ちょっと!」 「ん?」 俊彦が、切り込みに手を入れて足を触り始めたから、私は慌てた。 「『ん?』じゃない!靴!」 「あぁ、ごめん、つい…」 俊彦は慌てて倉庫に向かった。 そして、一足の靴を持ってきた。 (何で一足?) 首を傾げる私に、俊彦が説明した。 「それ、瞳が着てたのだよね。瞳、ここでそのドレスに合う靴買ったんだ。 だから、これしか考えられなかった」 ーと。 「で、でも、ヒール、高くない?」 「前に試しに履いたブーツのヒールよりは低いよ。 ハイヒールも練習しておいた方がいいよ。 …ウェディングドレスってハイヒールの場合が多いから」 (そう言えば…) 琴子がカラードレスに合わせていた靴は、どれもヒールが高かった。 ちなみに、琴子は、あとは、白無垢と打ち掛けを着る予定になっていた。 「蝶子は絶対チャペルウェディングだし」 「? 何で?」 私はクリスチャンではないし、琴子と同じ神前式にしても良かった。 前へ |次へ |
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