《MUMEI》 「蝶子、日本酒駄目だろ?」 「あ!」 (そうだった…) 私は神前式の手順は詳しくわからないが、お神酒…日本酒を飲まなければいけない事はわかった。 「さすがに、女王様降臨はヤバいでしょ。というわけで、せっかくだから、ウォーキングの練習してみようか」 俊彦はそう言って、ドレスと同じように光沢のあるシルバーグレーのハイヒールを私に履かせた。 「さ、お手をどうぞ」 ひざまずいていた俊彦が、立ち上がり、手をさしのべた。 「う、うん」 (明日までに何とかしないといけないし…) 私は俊彦につかまりながら立ち上がった。 琴子と和馬の結婚式は明日だった。 「…今日は、何もしないでいてあげるよ」 「本当?」 「あんまり嬉しそうな顔されると傷つくんだけど」 「ごめん」 そして、私達は店内を軽く歩いて回った。 私がふらつく度に、俊彦が支えてくれたのだが、… 「…セクハラ」 「やだな、たまたまだよ」 (…嘘つき) 俊彦が毎回腰や胸や足を撫でるから、私の上達は思ったより早くなった。 「良かったね」 何とか一人で歩けるようになった私を見て、俊彦はそう言ったが 前へ |次へ |
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