《MUMEI》 その顔は、明らかにガッカリしていた。 そして、その夜。 俊彦は、約束を守り、何もせずに… 『シューズクラブ』のソファーで眠っていた。 私は、俊彦に言われ、俊彦の部屋で眠った。 そして、翌日。 十二月二十四日。 クリスマスイブに、和馬と琴子の結婚式が行われた。 神前式を希望したのは薫子さんの影響で、着物を着たいと思っていた琴子だった。 羽織袴の和馬は、茶髪を黒く染め、トレードマークのカラーコンタクトもアクセサリーも外していて、別人のようだと、皆にからかわれていた。 披露宴の会場は、夏樹さんと同じ駅前のホテルだった。 賑やかな琴子の両親を見て、商店街の皆は目を丸くしていた。 そして…勢ぞろいした宗方一家は、華やかで知的なオーラを出していた。 しかし。 琴子が、両親への手紙を読み終えた後、サプライズで、和馬も両親への手紙を読み始めると… 人目も気にせず、号泣している明日馬さんがいた。 それは、出席者全員が、もらい泣きしそうな位感動的な光景だった。 「…ていうか、蝶子泣きすぎ」 「いいでしょ、別に」 私の目は披露宴が終わってもまだ真っ赤だった。 前へ |次へ |
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