《MUMEI》 かなた風邪をひく。「うぅ…うっぷしっ!」 「…Gesundheit.(ゲズントゥハイト)」 「Danke(ダンケ)…違うよっ!俺がこんなにフラフラなのにはるちゃんは俺を無視してι」 休日の朝だってのにゾクゾクして調子が悪くてくしゃみばっかり出ているのに、はるちゃんはいつも通りの時間に起きてからずっと本を読んでいた。 …今日は休みだから武とデートするつもりだったのに、こんな時に風邪なんてι 映画館にゲーセンに、最近見つけた喫茶店とか、色んなトコいっぱい行くつもりだったのに…。 「今日は寝てろ…」 そう言ってはるちゃんは俺を抱き上げると、ちょっとフラフラしながらベッドに寝かせ、毛布を上からムギュッとかぶせてきた。 「ムグッ!でもっデート行きたぁいι」 「あのクソヤローとは毎日会ってるだろ…」 はるちゃんはそう言って俺を寝かしつけると、部屋にある小さな冷蔵庫から生姜を出してきて摺り下ろし、それをはちみつとポットのお湯で溶いて持ってきてくれた。 「ありがと///」 「昔飲んでたホットグリューとかは出来ないかんな、ココ日本だし」 ホットグリューってのは温めたワインの事だ。 ドイツに居たときは小さい頃でもパパがコレにはちみつを入れて作ってくれて、俺もはるちゃんも飲んでたっけな…。 苦渋かったけど。 「コレの方が好きだよ///」 「…飲んだら寝とけ」 はるちゃんはそう言って俺の頭をグリグリと撫でてくると、じっと顔を見つめてきた。 「ん…?」 あっ……あったかい/// はるちゃんの唇が、俺の唇に触れてきた。 「風邪…うつっちゃうよ…」 「…キス…したくなるような…唇してたから…さ///」 ホットジンジャーの中のはちみつが、俺の唇をツヤツヤにさせていたみたいだ。 俺もはるちゃんの柔らかい唇を舐めると、布団をかぶって寝ちゃう事にした。 前へ |次へ |
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