《MUMEI》
母の香り
娘に聞いてみた。  
「お母さんに匂いある?お母さんってどんな匂い?」小学六年生の、少しずつお洒落に興味の持ち出した、娘が答えた。 
「たばこの匂いと歯医者の嫌な匂いかな」
私は臭いんだと、感じた。旦那には無味無臭だと言われていたのだが。
歯医者の匂いだって、一日仕事もしていれば、匂いがこびりつくに決まってる。道を歩いてすれ違いに汗臭い人がいれば肉体労働なのか、体臭なのかと、おもってしまうのと同じだ。  そういえば、私の母の匂いは?鼻腔になぜだろう、こびりついている、いや、脳が匂いを記憶しているようだ。決して、いい香りではない、汗でもない、化粧臭くもない、シャンプーの香りでも、たばこでもない。看護婦、(以前はそう、表現していた、今は看護師)をしていたから、院内の薬品の匂いもしない。私だけにしかわからない、母の匂いだ、匂いでは、母に対して失礼か。母の香りだ。私だけの母の香。しっかり、憶えていた‥

次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫