《MUMEI》 二十夜 刹那、夢幻の如く◆◇◆ 「彩貴は‥もう出掛けたのか‥」 帳の向こうに気配がない事に気付き、夜桜は呟いた。 腕の中では、妖達が愛らしい寝息を立てている。 ふと見ると、地面が白く染まっていた。 初霜が降りている。 (もう‥冬か) 吐く息が、白い。 火桶を引っ張り出して来ると、火を灯す。 「狐叉、お前も当たらないか」 狐叉は大して寒さは感じていなかったが、夜桜の傍らに伏せた。 ◆◇◆ 前へ |次へ |
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