《MUMEI》

左肩のギプスが窮屈そうだから後部座席に座らせた。

「鰻にきんぴらごぼうと小松菜のおひたしと味噌汁でいい?」

後部座席に晩御飯の相談をする。

「……構わないけど、俺に何故聞く。」

信号で車が止まる間話す。

「聞くのが癖……なのかなー?」

「それ、徳和のせいじゃないの?」

また、禁止ワードを出された。

「……違う、学生の頃に俺の部屋は友人のたまり場にされてて、飯をよく食わせてたから作るとき嫌いなものがないか聞いていたの。
食べてもらうのに残さないで欲しいだけだ。」

「知ってても食べさせなきゃその人の為にならないじゃないか。」

手厳しいお言葉だ。

「……はい、お義母様。」

青になり車を発進させる。二つ目の曲がり角を曲がればすぐ目的地だ。


「車の中で待ってるから。」

ギプスのまま歩くのは邪魔そうだしな。

「分かった、キー差し込んでおくから勝手に運転しないように。」

多分、その腕じゃ無理。

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