《MUMEI》
挑戦 〈私〉
いつもより早く目が覚めた。



「んっ」



小さく伸びをして、ぼうっと辺りを眺める。



…『椎名くん』の哀しげな表情が、頭から離れなかった。



見た目は私の筈なのに、私の頭の中では、
椎名くんは、ちゃんと『椎名くん』の見た目をしていた。



私はベッドから降りると、前屈をしてみた。



椎名くんの身体は、すごく柔らかい。


やっぱり、きつい練習とかも頑張ってたんだろうな…



―…私も、頑張らなきゃ!!



気合を入れて、制服に着替えた。



柔らかくて涼しい匂いが、私を包んだ。

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