《MUMEI》

台所に行くと、私は腕まくりをした。


今日は、おにぎりを握る!!


椎名くんのお弁当に頼ってばっかじゃ、ダメだもんね。



おにぎりなんて、握ったこともないけど…


…まずは、やってみなきゃ。



きっと椎名くんなら、こんなの簡単に作っちゃうんだろうなあ…


全然きれいな形になってくれないおにぎりを眺めながら、ため息をつく。


…私、おにぎりすら握れなかったんだ…



今まで、『やらせてもらえない』なんて思ってたけど、
―…そんなの、私が『やらなかった』だけなんだ。


失敗しても、怪我しても、挑戦するのが大事だったんだ―…



不恰好なおにぎりを鞄に入れると、私は駅へと向かった。

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