《MUMEI》

椎名くんはすでに駅のホームに立っていた。



「おう、」



片手を上げる椎名くん。



「おはよ」



私も挨拶を返す。



「…ケーキ、食ったか??」



しばらくの沈黙の後、椎名くんが口を開いた。



「んーん。…食べられなかった」



私が笑いながら答えると、



「え、なんで??」



椎名くんが、首をかしげた。



「…ほら、椎名くんって甘いもの苦手じゃない。―…だから」



私が言うと、



「あ、そっか!!―…なんてゆーか…悪かったな」



そう言って、頭をかく椎名くん。



「いいよ、戻ったらいくらでも食べられるし!
…それより、清水さん、来てくれたよ」


「え、マジ!?…なんて言ってた??」


「晩ごはん、スタミナ丼、作ってくれたよ。
…心配してた、椎名くんのこと。」


「…そっか、」



椎名くんが、ちょっと微笑んだ。



「練習、行くって言ったから」


「―…そっか!」


「うん!」



お互いに笑いあったとき丁度、
電車がホームに入ってきた。

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