《MUMEI》
四月二十四日 金曜
あれから角南クンは部屋を出て来ない。学校も始まっているのに。心配になって一度訪ねた。玄関のドアの前で声を掛けた。
「角南クン。管理人の林梧です。様子が気になって来たけど、大丈夫?」
返事はしばらくなかったが、ようやく、小さな声で、
「・・・あ・・・大丈夫です。ちょっと風邪を引いたようで」
「何か、持ってきて上げようか」
「いや・・・食べ物も薬もありますので。寝ていれば大丈夫です」
声がやつれているような気がしたが、それ以上は聞くことも出来ず、わたいは母屋に戻った。
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