《MUMEI》

「ちょっと〜!!せっかく勝ってたのに、何してんのよ〜!!」


(ヤバいヤバい…、ちょっと熱くなっちゃったじゃない…。余裕を見せないと。)


「5分か…、関谷!!行くぞ!!」


「え!?あと5分すよ!?」


「だからこそリードしてる状態で終わりたい。」


「はい!!」


「じゃ、とっておきの技おしえてやるから。」


「え、あぁ…、何すか?」


「一発勝負の技だからな。ミスは許されないぞ。」


「はい!!」


「まず、コートを見ろ。」


「はあ…?」


「今コートには何人いる?」


(何人ってそんなの決まってんじゃん…)


「14人です。」


通常、ハンドボールは7対7で行われる。


退場者が出た場合、人数が減ることはあるが。


「残念はずれ。」


「…は?」


(いやいや、クロさん何言ってんの?)


誰も退場してないんだぞ?


14人で当たってるだろ。


「いいか?」


クロが作戦を説明する。


「そんなの上手くいくわけないじゃないすか!!」


「い〜や、出来るね。僕やってたもん。」


(ホントに出来るのか…?)


「日高!!」


サインを送り、日高を呼び寄せる。


しかし、交代はしない。


(またかよ!?)


ボールをキープしていた椎名。


「ゆっくりで!!」


(…残り時間が少ないのに何の作戦があるっていうの?)


西条の監督も、クロが何か仕掛けてくることに気付いた。


「椎名!!」


(?)


(気にするな!!決めろ!!)


そんなサインはなかったが、目で訴える。


(いいのか?)


椎名が1対1を仕掛ける。


ディフェンスの足を使って誘導していること。


椎名にはそんな説明はいらなかった。


本能的に…


ディフェンスの仕掛けた罠を交わし、突破。


そしてシュート。


「ナイッシュー!!」


前半残り2分。


7対6。


再びリードは赤高。

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