《MUMEI》
出会い
「危ない!」
咄嗟に 体が 動いていた。


キキィィ……
俺の横 スレスレに 車が 止まる。


…あぶね〜な。


「おい、大丈夫か?」腕の中の 小さな影に 声をかける。


「ありがとう、お兄さん。」


六歳位の 黒髪で瞳の大きな 綺麗顔の男の子。


「ほっ、良かったな、危ないから 気を付けるんだぞ。」


「カイル様!」
突如 声がした。


長身の 黒のスーツを着た これまた 綺麗顔の 金髪男。


「煌(きら)遅いぞ。こいつに 助けてもらった。礼を言え。」


煌と呼ばれた 金髪男は 僕に 深々と お辞儀をすると…

「この度は カイル様を 助けて頂き ありがとうございました。」
と言った。


「あ〜別に。んじゃな、坊主、車に 気を付けろよ。」


俺は カイルと呼ばれた少年の頭を撫でて 走り去った。


「おい、煌。あれが 欲しい。あれに 決めた。」


「はい、カイル様の 仰せのままに…。」


俺の 知らない所で 俺に、白羽の矢が 刺さっていた。

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