《MUMEI》
母の膝枕に母親
結婚してからの私は、たまに実家に娘を母に会わせに行った。どこでもある、家族だ。
父親がそこには居ないが、それも今の世の中ありふれている家庭だ。
私には三歳離れた妹がいる、その下にも三歳離れた妹がいる。三姉妹の長女が私、益美だ。(やっと、私の名前が出たが、意味はない)だから、それぞれ家庭を持つ三姉妹が集まれば父親が居なくても賑やかきわまりない。そのパートナーの御主人群に見事、実をつけたチビ等がいるから、まぁ、パーティー会場になってしまう。
母は父と別れてから変わってしまった、酒を飲み、たばこをプカプカ。でも、明るさや仕事に励む姿は変わらなかった。娘のためだけに生きて、今は孫と旦那様群のために生きているようだ。
「夜中きつくて、赤ちゃん落としたくなったよ」
そんな私はいい年こいて、お母さんの膝枕で愚痴る。小学生以来の膝枕。
「何言ってるの!益美が育てられないなら、あたしが育ててやるから、あたしにちょうだい!もっと産んでもあたしが、立派に育てるさ!出来の良い親に育てられると、娘って、出来が悪くなるんだね、自分で産んだ子も育てられないとは」母の匂いを感じながら、言い方のきつい母に、心のなかで文句を言っていた。(お母さん、臭い匂い!フン。)もう、二度と膝枕はしてもらわない、と、ゆーか、してもらった、30代の娘がアホだった。

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