《MUMEI》




「今コートには何人いる?」


「14人です。」


「残念はずれ。」


「…は?」


「いいか?」


「はい。」


「今コートにいるのは15人だ。」


「え?」


「審判がいるだろ。」


「そんなの屁理屈じゃないすか!!」


「違う。審判はコートにいないことを前提として試合をしてるけど、事実その姿はコートにあるんだ。」


「はぁ…」


試合中の審判。
コート内では邪魔になることもある。


速攻中に選手とぶつかるなど、アクシデントもあるのだ。


しかし、クロはその障害物となってしまう審判を、逆に利用していた。


「審判の後ろに隠れて、センターから左45へのパスをカットだ。」


「そんなの上手くいくわけ…」





「後ろにいるのが見えなかったの!?」


そう。


ベンチにいるあんたからは見えてたかもしれない。


だけど普段審判なんて気にしない選手たちに、関谷のカットは見えないんだよ。


「行け!!」


椎名、関谷、沖。


3人のランパス。


「戻れ!!」


そして沖が…


「ナイッシュー!!」


シュートを決める。


前半終了。


8対6。

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