《MUMEI》
母の病室
医師からの説明を私益美、次女美香、三女の香美でうかがった。旦那様群は、我が子の面倒をうけおった。「山田さんは、高血圧だったらしく、医師にも診てもらわなかったようですね、まぁ仕事がら、気付いてはいたようですが、薬さえ処方していれば、こんな状態にならなかったでしょう。よくて、障害が残ります、最悪のことは覚悟してください」
母は、くも膜出血だとのこと。医者がどんなに医学用語を使いまくりしゃべっても、素人の私はには通じるわけがない。〈私が歯科の専門用語を使わずに客に説明するように語るようにいえ!〉 結局のとこ、脳の血管がつまり、キレたってことのようだ。長いオペも終わり、頭ぐるぐるガーゼの、坊主の母が横たわる。頭骸骨を少々切り取ってあるらしい。医療に無関係の妹達はみれなかったが私は医師から見せてもらった。美香が最初に病院に行ったとき、看護師から状況を聞いたらしく、
「おかあ、頭痛くてトイレに行ったらしい、そこで倒れたらしいが緊急の時の赤ボタン押して、バッタリらしい、行ったときには口から泡を吹いてたって、顔色は最悪らしかったよ、専門の言葉ばっかでよくわかんなかったけど、あの状態でボタン押したのがよかったみたい、脳は時間勝負っていうじゃん」
母の横で三姉妹は今の状況と気持ちの整理でいっぱいいっぱいだった。〈あっ、子供はだいじょうぶかなぁ、旦那に任せて平気かなぁ〉同じ気持ちのなのか、二人の妹も重体の母をよそに、パートナーと連絡をとるために、病室をまちまちに出ていった。私は病院ではいけないてわかっていても、母の横で旦那にメールを打っていた。
  モウ ダメカモ オカアサン
麻酔が覚めた頃、あんなオペしたのに、起き上がってきた。私がどこぞの誰かは理解しているようで、少しからかってみた。
「おかあさん、今病院だよ、手術したんだけど、わかるぅ?あのさぁ、右手挙げてみてよ」
あっさり、右手挙げてみせた、しかし、その瞳はどこをみて挙げているのかわからないくらい、左右の眼球が背中をむけていた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫