《MUMEI》
神のお言葉
職場に近い病院なので、旦那に連絡して、向かわせた。 旦那から、電話がきた。ハンドルを握る私に娘が携帯を耳にあててくれた。保育園もお休みだ、一日顔合わせるか、と、覚悟。
「俺だけど、運転平気か?あわてなくても、大丈夫だから、ゆっくり、来なよ」なぜか明るい旦那の声。私は電話を娘に切らせて、声を出して泣き叫んだ。娘が後部座席でどんな表情でどんな気持ちかなんて私にはどうでもよかった。どうでも、いいと、いうか、頭には何も無かった。ただ、旦那の声が私の気持ちに何かを伝えたのだ。  〈お母さん、亡くなったから、あわてなくていいよ、貴女と娘まで、事故してしまったら、お母さん安らかに逝けないよ。〉
そう、言いたかったのが私には伝わってきた。   後日、葬式を終えた私が問うと、せっかちで、心配性の私をあんじて、そう、言ったこと話してくれた。またしても、旦那様は私の神になった。

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