《MUMEI》
西条11ヶ月前
「うそ…。」


(まさか2点差もつけられて終わるなんて…)


やられた…。


「でかした関谷。」


「うっす!!」


(まさかマジに成功するとはね。)


西条にかなりダメージを与えたはずだ。


「先生。」


「…え、何?」


「そろそろいいすか?あんまタラタラやってるとストレスがたまってしょうがないんすよ。」


「…そうね。後半ガンガン行きなさい。」


「ふぅ…、やっとかよ。」


(一見チャラチャラして見える比呂だけど、うちのチームでは唯一の経験者。初心者しかいないこのチームじゃ物足りないでしょうね。)


西条高校唯一の経験者。
左45、立川比呂。


そして顧問兼監督である星野。


この2人が西条高校ハンドボール同好会を作るきっかけとなった人物である。


中学卒業後の立川は、高校でハンドボールをすることなど考えていなかった為、自由な校風という理由だけで西条高校を選んだ。


自由な校風の西条。


だからこそ…


真剣に部活動を行う者などいなかった。


全校生徒の9割以上が女子生徒だが、西条高校に女子ハンドボール部は存在しなかったのだ。


学生時代ハンドボールをやっていた星野は、女子ハンドボール部の顧問を希望していたが、現状を見て諦めていた。


立川と出会うまでは。

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