《MUMEI》
楽しい葬式
無事に通やもどうにか、やっこら終了。葬儀の次は火葬場。霊柩車の中では、あれこれ、三姉妹の雑談。母親が亡くなって後ろに寝転がってるようには感じさせない、三姉妹の会話。
「お母さん亡くなった時間にさぁ、玄関たたかれたんだよね、でかい音でビックリしたよ、あれって、やっぱりお母さん来たんだよね?」
「益美んとこに来るなんてありえないよ、一番親不孝だったじゃん」
香美の言うのは事実だった、大学行かせてもらうが、途中リタイヤ。金食い虫といわれてた。妹二人は大学行かなくても稼ぎのよい、旦那様に巡り合えたし。学歴なんか無意味かしら。
「まぁ、おかあが来たってことにしてさぁ、怖いから話やめてさぁ、何あの、叔父さん、普段顔出さないのに仕切りやがって、ばっかじゃないのー。ちなみに私はおかあが死んだとき子宮がキュンと痛かったよ、まぁ、生理だったからしかたないかも。それもあの朝きたからね、まったくさぁ」美香は怖がりなので話をそらす。生前の母の話で盛り上がる、笑い方が異常だ犬みたいとか、なんで、ティーシャツって言えないでテーシャツだったとか、字が下手くそで、益美にそっくりだとか、料理も下手で、まぁ看護婦だからなぁとか。あんなカッコいいお父さんと別れるなんて、もったいないとか。まあ、出るわ出るわ。
「あのー、一応、後ろに本人居るんですけど」   一番真面目な香美が小さくつぶやいた。でも、目が笑っていた。三人とも多忙な中、沢山沢山、旦那様群のもとで泣いたに違いない。泣いたら笑顔!それも母の口癖。目は腫れ、顔も別人だけれど、どこか晴れ晴れした気持ちは何故だろう。「あのね、不謹慎かもだけどさぁ、よかったね、おかあ、手術で頭切ったり貼ったりだけど、沢山沢山苦しまないで逝けてさあ。よかったね、で、いいんだよね?おねえ。」
美香が穏やかにリズムよく、口を開いた。私はうなづくことしか出来なかった。美香が私をおねえと呼ぶ時は、親不孝な長女にでさえ、長女らしさを求め甘えているときなのだから。三姉妹はは火葬場へ向かった。
火葬の時には観念したようで私らも穏やかに送ってあげた。それぞれ、アリガトウ
オカアサン って。しかし、穏やかじゃないのが、いた。それは、遠足か何かに来たような、チビ等だった。 チビ等にはまだおばあちゃんが死んだ事理解できないようす。チビ等相手にするのは、我ら三姉妹の旦那様群。  チビ等のヒーローだ!
 〈お母さん、バイバイ〉笑顔で、空を曇らす、煙を眺めた。

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