《MUMEI》

その頃 家で 寝ている草加さん。


「ゴホッゴホッ!」


…あ〜喉が痛い。
自分の手で 擦ってみるが 痛みは 消えない。


…やっぱり 他人限定なのだな。まあ、良い。


コケ〜コッコッコ〜!

「おお、ぴよ。私を心配してくれるのか?嬉しいぞ!」


コケッ!
ぴよ とは 草加さんのペットの ニワトリである。縁日のヒヨコが大きく育ったのだ。


母親は 幼くして亡くし、父親は 仕事が忙しくて 留守がちの 草加さんに とって ぴよ は 大切な家族である。


草加さんが 優しく 撫でると ぴよは 瞼を閉じる。ニワトリの瞼は下から上に閉じる。


ニワトリの寿命は 分からないが もういい年ではないかと 思う。


「長生きするのだぞ!ぴよ。」
草加さんは ぴよ を 抱き締めた。

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