《MUMEI》

「温室では高品質な薔薇が養殖されていますでしょう。花びら一枚、一枚から庭師によって丹精込めて育てられてます。」

「見事なものだね。」

誉は賛美する。
林太郎は誉が隙あらば距離を詰めようとするのを注意しつつ、付き添った。

「赤は情熱だね。
僕、薔薇は棘が有る方が好きなんだ。」

満足気に誉は薔薇の香を華を近付け楽しんだ。

「……そうだ、馬に乗ったことはあるかな。」

「いいえ。」

「僕は乗馬が得意なんだよ、是非、雄姿を見て頂きたいな。」

はねつけられても構わないのが影近誉という男だった。

「では、私が受け持った部屋も見て頂けますか。」

そして圓谷林太郎もただでは起き上がらない男であった。

「勿論だとも。さあ、厩舎に行こう。」

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