《MUMEI》

「ヒロくん!!ご飯一緒食べよ〜!!」


「あ、俺さっき食ったから。」


「え〜!?」


「悪いな。」


寝坊して、その日はたまたま朝飯を抜いてた。


だからすげ〜腹減ってて、授業中にこっそり弁当食ってた。


「…」


暇だな。


皆飯食いながらしゃべってる。


女の子と絡んでてもいいんだけど、受験で全く動かしてなかった体が、動きたいと叫んでいた。


「ねぇ、体育館って自由開放だよね?」


「え?あぁ、そんなこと言ってたような…。ヒロくん体育館行くの?」


「うん。暇だし。」


体育館に向かった。


まるで…


まるで何の音も聞こえてこない。


(あれ…?体育館って自由開放だよな…?)


不安になったけど、とりあえず体育館を覗いてみた。


誰もいない。


無人の体育館。


(これ、使っていいのか?)


不安に思いながらも、とにかく体を動かしたかった。


目に止まったバスケのゴール。


別にバスケは得意じゃなかったけど、まぁ他にやることも思い付かないし。


ボールどこだろ?


用具室かな?


ひとまず用具室へ行って、


ボールを探す。


「あ、これか。」


かごに入ったバスケットボール。


授業で使うものだろう。


「…」


用具室に並んだかご。


バスケやるつもりだった俺の目に飛び込んでくるものがあった。


「…ハンドのボールもあるんだ。」

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