《MUMEI》

「ガン!!」


(あれ?)


「ガン!!」


(珍しいな。体育館から音が聞こえるなんて。)


普段は聞こえてこない体育館からの音。


自販機の飲み物を買いに来た星野。


音が気になったから、体育館のドアを開けてみた。


「ガン!!」


星野の目に飛び込んで来たのは、


汗をかきながらボールを投げる立川の姿だった。


「…あれ?」


星野に気付く立川。


「やっぱ使ったらまずかったすか?」


「あ、いや大丈夫大丈夫。誰かいるのかなぁ〜って思って。」


「そすか。」


「ガン!!」


続けてボールを投げる立川。


「…ハンドボール、やってたの?」


「そうすよ。」


「先生もハンドボールやってたんだよ。」


「へ〜。」


壁にボールを投げるのを辞め、星野にパスを渡した。


「え?」


「パス付き合ってよ。壁打ちあきちゃった。」


「あは。いいよ!!」


立川と星野。


2人でパスをした。


「先生どこでやってたの?」


「あたし?高校は一女で、大学は秀皇だよ。」


「おぉ。どっちも強豪じゃん!!」


「立川くん、この学校でやる気はないの?」


「ハンド?だってね〜じゃん!!」


「作ればいいじゃん。」


学校が始まって2週間。


正直…


ハンドをやりたかった。


「先生手伝ってくれる?」


「もちろん!!」


人数を集めるのは大変だったけど…


比較的自由な学校西条。


ハンドボール同好会が出来るのに時間はかからなかった。

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