《MUMEI》

(やっぱり足は出した方がいいよね)


私は、シルバーグレーのドレスを脱ぎ、迷いながら、ニットのミニワンピースに着替えた。


それから、厚手の黒いタイツを履いた。


そして、改めて机に置いたプレゼントを開けた。


中に入っていたのは、おそらく手作りの、携帯ストラップと…


(え? …これって…)


私は、まじまじとそこに彫られた文字を確認した。


(どう見ても、…そうよね)

私は、伊東家に電話をかけた。


《メリークリスマス!》


最初に出たのは友君だった。


(電話に出れるようになったんだ)


「メリークリスマス、友君」


《蝶子ちゃん!?》


「うん」


《がんばって、ママと作ったの、届いた?》


「あれ、友君が?」


《うん!》


(すごいなぁ)


小さな弟が、日々確実に成長しているのを私は改めて感じた。


「は…ま、ママ、いる?」

《いるよ、はい!》


《届いた?》


「あ、はい。あれって…」

《今年もちゃんと私と太郎さんで選んだからね。
一番、喜ぶと思って》


「あの…私が期待してる答えで、いいんでしょうか?」


私は恐る恐る確認した。


《いいわよ》

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