《MUMEI》

「父さんも、なんですよね」


《何かね。顔見ちゃうと素直に言えないんですって。
あ、もちろん、年末年始はちゃんと来てね。待ってるから》


「はい、あの…ありがとうございます、本当に。
父さんにも、伝えてください!」


《わかったわ。あ…》


?


《メリークリスマス》


「メリークリスマス!じゃあ、失礼します」


ピッ





(やったぁ〜!)


私は思わずガッツポーズをした。


そして、友君からのプレゼントを携帯に付け、父と華江さんからのプレゼントをいつものバックに入れた。

(おっと)


あまりに嬉しくて、私から俊彦へのクリスマスプレゼントを忘れるところだった。


私は『アニバーサリー』で買ったプレゼントとバックを持って…


コートと手袋を忘れてまた部屋に戻り


慌てて階段を降りた。


「何かあったの?」


ロングブーツを履いていると、咲子さんに話しかけられた。


「すごくいいことがあったんです!
行ってきます!」


そして、私は俊彦の元へと駆け出した。


(早く、教えてあげたい)


そして、この喜びを分かち合いたかった。


「俊彦!」

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