《MUMEI》

「にしてもいきなりでしたね。」


「前半があんな攻め方だったからね。たぶんイラついてたんじゃない。」


「攻めれなくてですか?」


「うん。今の感じからすると彼は経験者みたいだね。」


「そんな感じだな。」


「周りが素人じゃストレスもたまるだろうしね。」


「で、爆発と?」


「…あれで全部発散してくれてたらいんだけどな。」


赤高ボール。


「1本行きましょ〜!!」


恭介、翔太、そしてクロでさえも気付いていなかったが…


立川以外にもフラストレーションがたまっている者たちがいた。


本来点を取るべきポジションでありながら、


今回の試合に関してはシュートチャンスが少なく…


シュートコースも制限され…


それでいながら自分たちが勝っているという状態。


苛立ちをぶつけることが出来なかったプレイヤーが2人。


ユキヒロと峰田だ。


「次クロス行きます。」


パス回しの最中。


椎名が峰田に伝えた。


(やっと来た!!)


「クロスだ!!ロングあるぞ!!」


ディフェンスの声など入って来なかった。


頭の中は、


『シュートを打つ!!』


それだけ。


峰田渾身のロングシュートが、


「ナイッシュー!!」


決まった。


10対7。

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